帳簿にある金額と、回収できる金額は同じとは限らない

貸借対照表に売掛金や貸付金が計上されていても、すべてが予定どおり入金されるとは限りません。M&Aの検討では、残高の金額だけでなく、相手先、発生日、支払期日、入金履歴を確認します。長期間動いていない残高や、支払条件が明確でない残高は、その理由をたどります。

売掛金であれば、契約、受注、納品や検収、請求の流れがつながっているかを見ます。入金後に値引きや返品が生じる取引では、その可能性も確認します。

貸付金は契約と返済実績を見る

貸付金は、契約書、貸付日、返済期日、利息、担保や保証の有無を確認します。役員や関係会社への貸付であれば、事業上どのような経緯で発生し、これまで返済が行われているかも重要です。

返済予定が長期にわたる場合や、予定どおりの返済がない場合は、譲渡後に誰がどのように扱うかを検討します。売却側と買収側で前提が異なると、後から条件の調整が必要になることがあります。

運転資金との関係

売掛金の回収期間が長い会社では、売上が伸びるほど運転資金が必要になることがあります。売掛金、在庫、買掛金の動きを見て、通常の事業運営に必要な資金を考えます。特定時点の残高だけでなく、月ごとの増減を見ることで、季節性や一時的な変動も把握できます。

M&A後も同じ取引条件を続けるのか、回収や支払の条件を見直すのかによって、必要な資金は変わります。事業計画と資金計画を別々に置かないことが大切です。

基準日をそろえ、残高の動きを追う

財務資料、売掛金台帳、貸付金台帳の作成日が異なると、同じ残高を見ているつもりでも数字が合いません。基準日をそろえ、基準日後の入金や新たな請求を区別します。帳簿と明細の差がある場合は、未処理の入金、相殺、消込方法などを確認します。

特定の取引先に残高が集中している場合は、その取引が止まったときの事業への影響も見ます。残高の大きさだけでなく、売上全体に占める割合、代替取引の有無、取引継続の条件を合わせて考えます。

確認事項は売却側だけの問題ではありません。買収後に請求、入金確認、取引先対応を引き継げるよう、担当者と資料の所在も確認します。

企業価値と譲渡条件を考える材料になる

企業価値は、将来の収益、保有する資産と負債、事業上のリスクなど複数の要素から検討します。売掛金や貸付金の回収可能性は、そのうち資産の中身を確かめる作業です。確認結果によっては、価格だけでなく、譲渡前に回収するのか、譲渡後に引き継ぐのかといった条件にも関係します。

個別の契約解釈、法的な回収可能性、税務上の取扱いには専門判断が必要です。弁護士、公認会計士、税理士などと確認すべき事項を区別します。

当社のM&A支援

当社は、M&Aの目的、希望時期、条件、企業価値、資産・負債、契約、事業計画を確認し、検討の前提をそろえます。売掛金や貸付金についても、資料と入金履歴から事業との関係を読みます。