弊社で資金繰り表を扱うとき、月末残高より先に注目するのは「一番残高が薄くなる日」です。損益計算書が黒字でも、支払日に現金がなければ資金繰りは止まるからです。
たとえば、25日に給与、月末に借入返済、翌月5日に大口の売掛金入金がある会社では、月末残高だけを見ると実態をつかみにくくなります。入金と支払いを実際の日付に置くと、どこで資金が薄くなるかが見えてきます。
| 動き | 入金 | 支払 | 借入返済・投資 | 残高の読み方 | 予定の確度 |
|---|---|---|---|---|---|
| 入金予定日 | 売掛金などの入金額 | — | — | 前日残高に入金を加える | 確定 / 見込み |
| 支払日 | — | 給与・仕入・固定費など | — | 前日残高から支払を引く | 確定 / 見込み |
| 返済・投資日 | — | — | 元本返済・設備投資など | 前日残高から支出を引く | 確定 / 見込み |
月末だけでなく、日付ごとの残高を置くと、資金が最も薄くなる時点を読みやすくなります。
最初に合わせるのは、銀行口座の残高
資金繰り表の開始残高と実際の預金残高が合っていなければ、その先の予測もずれます。複数口座がある場合は、すぐに使える資金と、納税や返済のために確保している資金を分けます。
ここが合ったら、入金予定を「確度が高いもの」と「まだ予定のもの」に分けます。請求済みの売掛金と、見積段階の売上を同じ扱いにしないためです。
日付で並べると見えること
例:
- 25日 給与・社会保険
- 末日 借入返済・外注費
- 翌月5日 主要取引先からの入金
- 翌月10日 税金・リース料
この並びで残高が一度マイナスになるなら、月末や翌月末がプラスでも手を打つ必要があります。
借入返済と設備投資は、損益とは別に置く
借入金の元本返済は費用ではありませんが、現金は出ていきます。税金や設備投資も、毎月の損益だけを見ていると支払時期を見落としやすい項目です。
弊社では、利益の見込みと資金残高の見込みを分けて判断します。黒字かどうかと、支払日に現金があるかどうかは別の話です。
予定と実績がずれた理由を残す
資金繰り表は、当たったか外れたかを評価する表ではありません。入金が遅れた、支払いが増えた、受注時期がずれた。差が出た理由を残し、次の予測に反映するための表です。
税務判断や税務申告は弊社では行いません。税務上の確認が必要な場合は、税理士などの専門家へ相談します。
予定がずれたら、日付と理由を残す
入金予定日を後ろへ動かすときは、新しい日付だけに書き換えず、元の予定日と変わった理由も残します。支払日が先に来る期間を見直し、手元資金が少なくなる日が変わっていないかを読みます。
まだ決まっていない入金も、資金繰り表へ入れますか。
確定した予定と未確定の予定を分けて載せる方法があります。未確定の入金を含めた場合と、含めない場合で残高を比べれば、その入金にどれだけ依存しているかを考えやすくなります。
表の様式から作り始める必要はありますか。
既存の様式を利用する方法もあります。日本政策金融公庫は、資金繰り表と作成手順・記載例を公開しています。自社の入金日と支払日に合わせて使い、必要に応じて月中の動きも補います。